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所信表明演説 実行の具体論が不十分だ(11月18日)

 自民党圧勝の衆院選を受け召集された特別国会で、安倍晋三首相が所信表明演説を行った。

 首相は選挙戦で「国難」と訴えた北朝鮮情勢と少子高齢化について、国民の信任を背景に乗り越えていく決意を表明。宿願とする憲法改正では、与野党の枠を超えて「共に困難な課題に答えを出していく努力の中で(改憲の)議論も前に進むことができる」と意欲を強調した。

 ただ、選挙に勝って引き続き安定した政権基盤の下で発足した第4次安倍内閣の滑り出しでの国会演説にしては、政策課題の実現に至る具体論が不十分で説得力に欠け、淡泊だったとの印象は否めない。

 衆院選の直前に民進党が分裂し、選挙結果が「野党多弱」に終わったことから、改憲や安全保障など重要政策を巡る立憲民主党や希望の党、民進党の今後の出方を見極め、当面は慎重な言い回しに終始する方が得策と判断したとも受け取れる。

 しかし、これでは野党も攻め口に困るだろう。今後の論戦を通じて政策実行の具体論を浮き彫りにするよう与野党に望みたい。

 首相はアベノミクスについて、数字を列挙しながら経済効果を誇示。少子高齢化の克服に向け「生産性革命」と「人づくり革命」を断行し、幼児・高等教育の無償化や介護支援などで成果を挙げる考えを示した。

 2019年10月に税率を10%に引き上げる予定の消費税増収分の使途を見直し、子育て世代への投資と社会保障の安定に充当すると表明。財政健全化を目指す姿勢は堅持するとしたものの、「2020年度」という目標達成期限は演説から消えた。財政再建への新たな道筋に関する首相の説明が求められる。

 北朝鮮情勢では、日本を取り巻く安全保障環境は「戦後、最も厳しいと言っても過言ではない」と指摘。トランプ米大統領の初訪日で「日米同盟の揺るぎない絆を世界に示した」と自賛した。

 中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領らとベトナムでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などの機会に会談し、対北朝鮮での「緊密な連携を確認した」と成果を強調。北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題を解決するため、圧力を一層強化する意向を示した。

 首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画の認可問題には言及しなかった。首相や周辺の意向が働いたとの疑念は消えていない。首相は自ら約束してきた「丁寧な説明」を尽くすべきだ。

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