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相模原殺傷事件起訴 裁判の場で徹底解明を(2月25日)

 19人が殺害された昨年7月の相模原市の知的障害者施設事件で、横浜地検は元施設職員植松聖容疑者(27)を殺人罪などで起訴した。精神鑑定の結果、刑事責任能力があると判定されたためだ。「障害者なんかいない方がいい」と供述した植松被告の動機とその背景が裁判の場で徹底的に解明されることを期待する。それが再発防止の一歩となる。

 植松被告は昨年9月、責任能力の有無を調べるため鑑定留置され、精神鑑定の結果、「自己愛性パーソナリティー障害」と診断された。逮捕当時から「殺してはいけないことは分かっていた」などと供述しており、鑑定でも善悪を理解できる状態だったと判断された。

 「自己愛性パーソナリティー障害」は、自分が特別で、他の特別な人たちだけが理解しうると信じ、非現実的な目標を定める特徴があるとされる。しかし、統合失調症などの精神障害の妄想による「心神喪失」と違い、是非善悪が判断でき、責任能力があるとみなされている。

 事件は「障害者はなくなってしまえと思った」という動機に基づいて19人が刺殺され、多数が負傷する大量殺人であるとともに、予告されていた点に大きな特徴がある。

 植松被告は事件のあった施設に3年余、職員として働いていた。障害者と日々、接する中で障害者に否定的な考えを抱き、衆院議長宛てに「私は障害者470人を抹殺できます。目標は重複障害者が安楽死できる世界です」と手紙を書くまでにエスカレートさせた。

 障害者を見て「かわいそうだな」と思うのは素朴な反応であろう。そこから「でも、一人一人が命を大切に、懸命に生きているのだ」と思い、共に生きようと考えるか。逆に「障害者なんていない方がいい」という方向にいくのか、大きな違いが出る。

 多くの人が「共に生きる社会」に共感している。だが、事件から半年の追悼集会で障害者団体代表が「インターネットでは(植松被告の供述に)同調する意見も少なくない。この事件には多くの共犯者がいる」と述べているようなことがあるのも現実だ。

 問われているのは植松被告の刑事責任だけではなく、障害者に対するわれわれ一人一人の向き合い方である。人間の尊厳とは何かという考え方である。

 公判では検察側がどのように事件に至ったかを詳細に立証するとみられる。おぞましい人間の闇も現れるだろう。しっかり目を見開いて見詰める必要がある。

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