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NATO首脳会議 内部亀裂に大きな脅威(7月18日)

 北大西洋条約機構(NATO)はブリュッセルで開いた首脳会議で、加盟国の防衛費を2024年までに国内総生産(GDP)比2%とする目標を再確認する共同宣言を採択した。

 目標自体は14年の首脳会議で指針として採択しているが、今回はトランプ米大統領が目標期限を前倒しして直ちに達成せよと加盟国に迫るなど、感情をむき出しの態度を取ったため会議が紛糾、異例の展開となった。

 現時点で目標を達成した国がわずかな中で、米国だけが3・5%と突出しているのは事実。これをもって過重な負担を強いられていると言い立てるトランプ氏は、2%どころか4%への倍増を促す一幕も伝えられた。

 トランプ氏の主張は多国間協調に背を向け、自国の権益を最優先する対外姿勢がNATO関係にも影響を及ぼしていることを裏付けた。さらに、機構内部の深刻な亀裂をさらけ出し、来年設立から70年を迎えるNATOの同盟関係が大きな転機に差し掛かっていることを強く印象付けた。

 転機を象徴的に示すのはトランプ氏が欧州連合(EU)との貿易で1510億ドル(約16兆7千億円)を失っているとしてEUを敵視、防衛負担と赤字解消を結び付けていることだ。

 「今はNATO離脱のときではない」とも述べた。単なる脅し文句のつもりだろうが、このような表現を用いることこそ、様変わりの端的な表れだろう。

 一連の発言はコスト計算ばかりが際立ち、本来の安全保障を支える理念は感じ取れない。EUのシンクタンクが行った調査では、今や米国を「脅威」と見なす国が現れている。結束を脅かす要因は、あろうことか内部に出現してきたのだ。

 宣言はロシアによるウクライナ領クリミアの強制編入を「違法な併合」と明記。ロシアの軍事的脅威におびえるバルト3国やポーランドを視野に、20年までに有事の際の30機械化大隊、30飛行中隊、30戦闘艦を30日以内に配備できる即応態勢の確立を決めた。

 トランプ氏はフィンランドの首都ヘルシンキでプーチン・ロシア大統領との会談に臨んだ。

 ヘルシンキは1975年、当時の東西首脳が一堂に会した全欧安保協力会議(CSCE、現欧州安保協力機構=OSCE)で国境の不可侵や武力による変更の拒否などを柱とする画期的な文書(ヘルシンキ合意)を採択したゆかりの地である。ウクライナ危機を踏まえ、その精神の有効性を再確認することが強く望まれる。

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