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核のゴミ最終処分 問われる国の覚悟(7月24日)

 「国が前面に立って解決に取り組む」―。原発から出る核のゴミの最終処分地選定を巡り、2014年に国がエネルギー基本計画に盛り込んだ文言だ。今年7月に改定された新しい基本計画にも同様の決意が記されているが、現時点で国の危機感や積極性は感じられない。

 今月、処分地選定を進める原子力発電環境整備機構(NUMO)が、昨年7月に公表された科学的特性マップに関する「対話型全国説明会」を青森市で開いた。一般を対象とする説明会は青森県内では初めてだったが、処分地選定の先が見えない現状に、参加者からは「認識が甘い」「真剣に考えているのか」といった批判が相次いだ。

 県内には六ケ所村に、核のゴミである高レベル放射性廃棄物の一時貯蔵施設があり、原発がある他の道県と状況が異なる。安全協定では30~50年間貯蔵し、その後は県外に搬出することになっている。

 国は4年前の基本計画で処分地問題の解決に強い決意を示したが、地層処分に適しているかどうか全国を色分けした科学的特性マップを作製した以外に、目立った動きはない。さらに意見交換会などで謝礼を約束して学生を動員する問題が発覚するなど、地層処分に対する国民の信頼は揺らいでおり、県民が不信感を募らせるのも当然だ。

 今回青森で開かれた説明会は、グループに分かれた対話型質疑を除けば、これまで経済産業省が自治体関係者を対象に行ってきた説明会とほぼ同じ内容。NUMO側は「広く、国民に地層処分への理解を深めることが目的」「青森県を最終処分地にはしない」などと繰り返すばかりで、今後の具体的なスケジュールは示さなかった。

 「国が前面に立つ」という姿勢はどこに行ったのか。国は今後、全国で展開する地域ごとの対話型説明会を重ねる中で、自発的に手を挙げてくれる自治体を待つ基本スタンスだが、07年に高知県東洋町がいったん応募し、取り下げて以来、他の自治体から動きはない。地層処分の適地などを記した全国マップを作ったのであれば、次の具体的なアクションを起こすべきではないか。

 国から自治体側に候補地の可能性を探る調査などを申し込めば、地元住民との摩擦は避けられないだろう。当然、強い反発も予想される。処分地の押し付けは論外であり、国は膨大なエネルギーをつぎ込んで、住民に説明し、了解してもらわなければならない。問われているのは国の覚悟だ。

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