きょうの時評

民主党代表選 国民に開かれた論戦を(2010/09/02)
 民主党代表選が告示され、菅直人首相と小沢一郎前幹事長による、党を二分した選挙戦がスタートした。地方の一般党員らが参加する本格的な代表選は8年ぶり。14日に新代表が決まる。
 事実上の首相を選ぶ代表選は、民主党にとって初めての体験だ。猛暑にめげず全党挙げた熱い論戦を実現することこそ、政権党にふさわしいと指摘しておきたい。
 それにしても、鳩山由紀夫前首相を軸に告示直前まで続けられた仲介工作は実に不可解で、国民の目には異様に映った。野党当時のような主導権争いを繰り広げる一方で、「挙党態勢」「分裂回避」を大義名分にした党内調整を行うこと自体、不条理な密室談合というほかない。
 菅・小沢会談が決裂し本来の代表選に突入したが、国民にとっては全面対決の図式こそすっきりした舞台設定といえる。
 今回の代表選は、7月の参院選で敗北した民主党が党勢を回復軌道に乗せることができるかどうかを占う重大な分岐点となる。
 小沢氏が率いた自由党との合併以来、民主党が内部に抱え込んだ潮流を整理する上で避けられない決戦でもある。既成政党の体質を嫌う「民主党らしさ」と、自民党の名残がつきまとう「小沢的なるもの」との相克でもある。従来の代表選以上の対決色の高まりにも、それが感じられる。
 ただ、肝心なのは「脱小沢」か「親小沢」かの二分法ではない。ジリ貧に追い込まれて久しい国民生活を念頭に置き、両氏の政治手法、政策路線、政治体質などの違いを論じ合うことだ。それなら国民も論争に加わることができる。
 例えば、民主党が掲げた「政治主導」の旗印では、脱官僚を目指して内閣による政策決定一元化で合意していたはずなのに、両氏ともぶれが目立ち、定見があるとは思えない。
 政策路線では、昨年の衆院選でのマニフェスト(政権公約)の取り扱いだ。菅氏は、デフレ不況の深刻化で極端に落ち込んでいる歳入不足の現実を踏まえて見直しを主張しているが、小沢氏はあくまでマニフェストに固執している。どこに、どんな財源があるというのだろうか。消費税増税の是非や手順も含め、最大の争点になる。
 一方、政治体質ではっきりさせなければならないのは、小沢氏サイドの政治資金規正法違反事件の真相解明だ。あいまいな態度の繰り返しでは総すかんを食らう。代表選への出馬資格を問われることにもなる。
 キーワードは「国民に開かれた代表選」だ。民意をくっきり映し出す結果を出せなければ、政権基盤は一気に危機に陥ることを民主党は肝に銘じなければならない。