きょうの天鐘
| ●天鐘(2009/04/28掲載) | |
|
江戸時代に流行したインフルエンザの大半は、外国との窓口になっていた長崎から起こった。やがて中国地方から上方に及び、関東を経て東北に進むのが通例だったという(立川昭二『日本人の病歴』)▼そんな歴史的背景もあってのことだろう。医学を中心に外来語がどっと入ってきた江戸末期、インフルエンザに「印弗魯英撒」の字を当てられたこともあった。そこにはインドなど四つの国名がのぞく▼インフルエンザはもともと、影響を及ぼすとの意味から出た語だというからよくできている。が、病原体は知らなくても、外国から持ち込まれ、撒かれて広がる伝染病としてとらえていた江戸の人たちの感覚も鋭い▼メキシコや米国で発生した豚インフルエンザが、世界的な広がりをみせている。米国の感染者はいずれも症状が軽いというが、死者が百人を超えたメキシコでは非常事態を宣言。マスクが必需品になっているようだ▼まだまだ不明な点が多く、一つ一つの解明はこれからだが、発熱やせきに加え下痢やおうとなどの症状は普通のインフルエンザと変わらない。このため、豚インフルエンザと気付かず、報告が遅れたとの見方もある▼今のところ日本人への感染は報告されていないが、成田空港では検疫体制を強化。政府をはじめ各自治体も相談窓口を設けるなどして対応に乗り出している。要はいたずらに恐れることなく、冷静に対処すること。その点を肝に銘じたい。
|