1週間の天鐘

3月20日掲載
3月19日掲載
3月18日掲載
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3月15日掲載
3月14日掲載

●天鐘(2011/03/20掲載)
 福島第1原発で使用済み燃料プールの放水冷却や電源復旧作業が進む。東京電力やメーカー派遣社員、自衛隊や東京消防庁の隊員が、被ばくを覚悟で頑張っている。成功を祈るばかりだが、まだ予断を許さない状況だ▼原子力安全・保安院は、1〜3号機の事故の深刻さを示す国際評価尺度を8段階中3番目のレベル5に引き上げた。1979年の米スリーマイルアイランド事故と同じで、この上は史上最悪となったチェルノブイリ事故(86年)のレベル7があるだけだ▼緊急炉心冷却装置の非常用電源の能力喪失と水素爆発は想定外だが、人為ミスも重なった。思わぬ事態に陥った時、それを切り抜けるのが人間の英知、勇気だろう▼今、当事者を責めても仕方が無いが、東電社長が社員全員退避を菅直人首相に打診、首相が拒否したとの一部報道があった。拒否は「被ばくしてもやれ」という意味に受け取られかねないが、では誰がやるのか、ということにもなる▼安全性を訴えてきた事業者が、手に負えないからどうぞ、では困る。事業者の責任感、危機管理、防災対策はその程度なのか。事が起これば自衛隊や警察、消防に頼るだけなのか、と思えば落胆させられる▼認可した国にも責任がある。想定外の枠を外し、原発や核燃料サイクル施設を点検し直し、国民に報告するべきだ。与野党とも、今後の原発推進は困難だとの認識を示しているが、今は調子のいい話にしか聞こえない。

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●天鐘(2011/03/19掲載)
 プロ野球セ・リーグが予定通り25日の開幕を決めた。東日本大震災の被害が拡大し、復興の道筋も見えないため、選手会が延期を求めていた。パ・リーグは延期するという。足並みがそろわなかった▼セの球場は震災の影響が比較的小さく、日程消化が可能と判断したそうだ。コミッショナーは「批判は覚悟の上」とコメント。「野球で被災者を勇気づける」と主張する球団関係者もいるが、果たしてどうか▼25日の開幕戦3試合はナイターだ。東京ドームの場合、必要な電力は1時間に5〜6万キロワットで、一般家庭5千世帯以上の1日分の消費量に相当するという。関東地方が大規模停電の危機にさらされている中での開幕強行は、理解を得られるのか▼選抜高校野球も予定通り23日の開幕が決まったが、こちらはプロ野球とはかなり様子が違う。開催の可否について関係者は相当悩んだようだ。被災地からの出場校もあるからだ▼八戸市の光星学院の選手たちは、郷里の惨状に胸を痛めながら、「いい野球」を目指す。初戦の相手、茨城県の水城も被災地。気持ちは同じだろう。「被災地を勇気づける」点ではプロ野球よりもセンバツに軍配を上げたくなる▼光星の在校生は甲子園での応援を行わず、学校から声援を送るという。思いは球場へ届くはずだ。選手も「がんばろう! 日本」の大会スローガンにのっとり、きっと真剣なプレーを通し、一筋の光を被災地に届けてくれることだろう。

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●天鐘(2011/03/18掲載)
 大正12(1923)年の関東大震災は、明治以降最大の犠牲者を出した地震として記録に残る。死者と行方不明者を合わせると10万人以上に達した。難を逃れた被災者は途方もない人数だったに違いない▼当時、救済のためにさまざまな手が打たれた。その一つが食料の支給。被災民1人当たり1日に玄米2合(360ミリリットル)を政府が配給した。満足できる量とは言えないものの、飢えをしのぐことはできる▼地震の2日後には国鉄が避難先へ移動する被災者のために無賃乗車を特別に許可した(『明治・大正家庭史年表』河出書房新社)。非常時に速やかに救援策を打ち出した姿勢が被災者をどんなに励ましたか、想像に難くない▼今回の東日本大震災の被災者支援策はどうか。被災地は食料や灯油、ガソリンなどの不足にあえいでいるのに、首都圏では買いだめが起きているという。不要不急の購入が被災地に犠牲を強いている構図だ▼「全国的に物資は不足していない」。政府は買いだめの自粛を呼び掛けているものの、効果は上がっていない。東京電力の対応も似ている。きのう、計画停電を実施したにもかかわらず、電力需要の急増で大規模停電のピンチに陥った▼情報の乏しさが危機感を煽(あお)り、事態を悪化させていないか。掛け声だけでは国民の信頼が得られない。40年ほど前の石油ショックの際に、トイレットペーパー不足の騒動が起きた。教訓が生かされないのはもどかしい。

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●天鐘(2011/03/17掲載)
 想定外という言葉をやたらと耳にする。想定外と言えば、今回の大震災そのものが想定外だ。気象庁は「三陸沖でこれほどの地震が起こるとは想定していなかった」と会見した▼さらに、緊急地震速報は、最大震度5弱以上を予測する場合、自動で発表されるが、誤報が相次いでいる。広範囲で地震が頻発すること自体が想定外で、直ちに改善できないという▼宮城県南三陸町は毎年、避難訓練をしてきたが、想定した津波は5・5メートル。今回は高さ約11メートルの防災センターを超えた。一命を取り留めた町長は会見で「それだけの規模しか想定できなかった」と話した▼日本を危機に陥らせているのが東京電力福島第1原発だ。「想定を超える」との社長発言に非難の声が上がっている。緊急炉心冷却装置の非常用発電機は5メートルの高波に耐えるだけの設計だったそうだ▼今、世界中の人が固(かた)唾(ず)をのんで福島原発の状況を見守っている。決死の覚悟で注水を続ける作業員には頭が下がる。最悪の事態を何とか回避できるよう祈るばかりだ。支援している自衛隊も原発施設の安定化は任務の想定外だという▼今回の大震災を機に、世界各国では原発計画凍結の動きも出てきた。青森県には東通原発があり、大間原発の建設も進む。非常用発電機の位置や、使用済み核燃料の冷却は大丈夫か。電力会社は積極的に情報を公開し、県民の不安解消に努めるべきだ。そういう情報公開まで想定外とは言えまい。

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●天鐘(2011/03/16掲載)
 大地震と大津波災害から5日目の昨日、八戸市内のスーパーを見ると、食料品がだいぶ減っていた。2日目までは停電のため、ほとんど閉店だったが、復旧した3日目以降、カップ麺などの食品の棚はすっかり空になった▼一昨日は、賞味期限も手伝い、肉類や加工魚、豆腐や納豆も減ったようだ。製造元が被害を受けたり、輸送ルートが確保されていない状況では、売り切れるのも当然だろう▼ただ、家族で必要以上に買い物をしていないか、点検してみてはどうか。多少の食料不足とはいえ、自宅の冷凍庫に眠っている食品をそのままにしながら、次々と買い足してはいないだろうか▼まだ避難所では、食料や生活物資が足りず、不安な夜を過ごす被災者が多い。着の身着のままで逃げた人もいる。そういう人たちに優先的に食料品や生活必需品が届けられれば、と思う▼ガソリンスタンドは昨日朝も長蛇の列で、周辺に渋滞を起こしていた。それぞれの事情で致し方ないが、こういう時こそ知恵を絞って節約に努めたい。自転車で行ける所は自転車を使いたい。安定供給まで少しの辛抱だ。被災を免れた人がパニックを起こしていては恥ずかしい▼今は地域一体で復興に向かう時である。小さな行動が全体を救うはずだ。阪神大震災でもボランティアが復興の支えとなった。被災者は、避難所への支援、家屋の泥出しや片付けを求めており、八戸市では災害ボランティアを募集している。

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●天鐘(2011/03/15掲載)
 死者、行方不明者5千人を超す東日本大震災について、海外メディアも大きく伝えている。激しい揺れと巨大な津波、それに原子力発電所の事故…。しかし、外国人が注目するのはすさまじい惨状だけではない▼深刻な被害に見舞われながら、冷静に行動する日本人に称賛の声が上がっているという。難を逃れた人も救援活動に加わる。水や食料を求める人々は整然と行列に並ぶ。大規模なパニックは見られない、という具合▼直面する危機から立ち直るため、忍耐強く、力を合わせる日本人がまぶしく映るらしい。英国のある新聞は、1面に日の丸を配し、その上に日本語で「がんばれ、日本。がんばれ、東北」と見出しを掲げたそうだ▼だが、忍耐を美徳として被災地に押し付けてはならない。例えば、ガソリンや軽油などの車両用燃料の不足は、物資の円滑な輸送を妨げる。被災者の耐乏生活にも限度がある。国が備蓄放出の方針を示したのは当然だ▼東京電力は計画停電に踏み切った。これが電力の大消費地である首都圏の暮らしを守るための「自社の都合」でないことを願う。被災地の苦渋を分かち合わないと国民的な苦難は乗り切れない▼阪神大震災では病気を抱える高齢者や幼児、障害者など災害弱者への援助が行き届かなかった反省が指摘された。支援が必要なのは避難所にいる人だけに限らない。これ以上の災害難民を出さずに、未曽有の災害から復興への道を歩みたい。

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●天鐘(2011/03/14掲載)
 八戸市の白銀地区自主防災会が組織されたのは昨年2月。設立総会の翌日、チリ大地震に伴う大津波警報に遭遇する。独自に住民へ避難を呼び掛け、炊き出しも行った。訓練より先に経験した実戦だった▼今回の東日本大震災では揺れを感じた住民が続々と避難所へ駆けつけた。防災意識の高さがうかがえる。防災会の会長で、白銀振興会の会長も務める佐々木松美さん(73)は、自分たちの責任の大きさをかみしめる▼「避難所に来た人たちが不安を抱いたり、体調を崩したりしてはいけない。それを活動の主眼にした」。メンバーは同じ地区に住む隣人を思い、炊き出しを始めた。発電機の燃料や暖房用の灯油の確保にも駆け回った▼防災会の予算はまだない。それでも、すぐに活動しなければならない。取り急ぎ、費用は振興会が立て替えた。地域の互助精神が迅速な決断と行動の原動力。行政や各種団体の協力を得ながら、活動を続ける▼きのう夜、津波注意報が解除され、避難指示も解かれた。だが、避難所で3日目の夜を過ごした住民も多い。自宅が津波で壊れたり、電気などのライフラインがまだ復旧していない住民が少なくないからだ▼「新たに見えてきた課題もある。避難所に物置を設置して、炊き出し用の鍋や釜、簡易トイレ、担架などを常備したい」と佐々木さん。でも、まずは直面する活動に全力を尽くす。被災者の支援はきょうも続く。それが励ましになると信じて。

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