デーリー東北賞
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◆日本細菌学界の第一人者 野田公俊さん 毒素の無害化に尽力 |
【略歴】 のだ・まさとし 1951年、八戸市生まれ。八戸高、東北大を経て、83年に東京大大学院医学研究科博士課程を修了し、医学博士号を取得。同大医科学研究所細菌感染研究部助手から、88年千葉大医学部微生物学第2講座助教授、90年同教授。98年同大学長補佐(兼任)を経て、2007年同大大学院副医学研究院長に就き、現在に至る。09年には日本細菌学会理事長に選出された。1984年に同学会黒屋奨学賞、2008年に文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)を受賞。千葉県四街道市在住。58歳。 細菌研究の世界最先端を走る第一人者、子どもに理科の面白さを伝える先生―との二つの顔を持つ。 小学生のとき、「日本細菌学の父」といわれる北里柴三郎の伝記を読んだ。「目に見えない細菌の研究で人の役に立てるのか」。その時の感動が、医学を志す契機となった。 これまでにコレラ毒素、O157のベロ毒素、ピロリ菌の空胞化致死毒素の無害化に成功。いずれも世界初の成果で、国内外の注目を集めた。 キーワードは「毒素の無害化」だ。細菌は抗生物質への耐性を生み出すが、細菌が分泌する毒素は変異しない。毒素の無害化は、新たな感染症対策の切り札として期待されている。 「病気を防ぎたいから研究を続ける」と語るように、毒素の解明にとどまらず、効果的な医療につなげることを念頭に置く。その信念は、尊敬する北里との出会いから一貫している。 研究が順調に進む一方、正しい知識の普及が必要と痛感させられる出来事もあった。1996年に多発したO157の集団食中毒。O157に関する研究論文を発表した直後だった。 同年から自主的に小中高校生を対象とした無料の出張講演をスタート。2004年からは日本細菌学会と千葉大との共催で実施。訪れた学校は約180校、受講者は約4万人に上る。 タイトルは「ミクロの世界からのメッセージ」。生活に身近な微生物の話から最新の研究成果まで、その内容は幅広い。イラストを多用し、分かりやすさにも配慮している。 子どもの理科離れが進む中、講演には将来を担う人材育成の狙いもある。「単なる知識は図書館でも得られる。生きた知識を伝えたい」。子どもの笑顔に接し、その未来に思いをはせるのが何よりの喜びだ。 自身の研究も一つの節目を迎えようとしている。O157の重症化の原因とみられる新毒素の簡易検査の開発と無毒化に成功すれば、「より効果的な治療が可能になる」という。 研究の傍ら全国の学校を駆け巡る。ハードで、充実した日々は続く。 【写真説明】 出張講演で微生物の世界を分かりやすく生徒に伝える野田公俊さん(左) |