第33回

◇青森県教育委員会教育長賞
 夢にむかって 「マンモス復活大作戦」を読んで
     弘前大学教育学部附属小六年 天海 十漸
 「絶滅したはずのマンモスを復活させる。」この本を読む前にこんなことを言う人に会っていたら、ぼくはきっと大丈夫かなあこの人、と思って笑ってしまったでしょう。そんな現実ばなれしたことなんかできるわけがない、と思ったにちがいありません。しかし、ぼくみたいな考えの人が大勢いる中で、後藤さんは冷たい目で見られながらも、自分の夢をあきらめないで、くじけずに今もがんばっています。例えば、マンモス発掘の予備調査に行く時に、大事な機材が持ちこめませんでした。しかしてつ夜で交渉して許可を出してもらえました。とてもぼくにはまねのできないことです。
 そこまでしても後藤さんがマンモスを生き返らせるという、夢にいどむのはなぜでしょう。
 それは第一に、マンモスが見たいという望みです。動物園でウサギにさわっているふうにマンモスにさわれたら、ぼくも一万年前に生きていたマンモスをさわっているということを想像しただけで、ドキドキしてきます。
 第二に、絶滅しかけている動物を救える方法が見つかるかもしれないからです。もし絶滅しかけている動物を増やすことができたら、それもまたぼくたちが大人になった時に、地球がいっそうにぎやかになり、平和な日がやって来ることになると思います。
 そしてもしこの計画が成功すれば、マンモスに動物園など安全な場所に行って、大きな体で堂々と歩いているでしょう。かつてマンモスは、この地球の大地をふみしめていたのだから、またマンモスが誕生するのであれば、本当にすごいことです。後藤さんも、きっとぼくと同じようなことを考え、夢にいどみ続けていると思います。
 しかし、思ったようにうまくはいきません。生命とはそんな甘い物ではなく、やすやすとはマンモスを復活させてくれないものです。せっかくシベリアまで行って永久凍土をかき分けながら、たくさんの危機をあきらめずに乗りこえて、後藤さんたちはマンモスの皮ふを発見しました。しかし結果的にそれは、何の役にも立ちませんでした。ふつうならそこであきらめてしまうのに、今すぐにでもシベリアに行って、マンモス探しを続けたいという後藤さんの情熱におどろき、マンモスを復活させてみるという強い意志が伝わってきました。
 この本を読むまでぼくは、夢を持ってもその夢が現実からはなれていたら、すぐにあきらめてしまっていました。しかし後藤さんは、「絶滅したはずのマンモスを復活させる。」という、どんな人でもこれは無理じゃないか、と言えるとてつもなく大変なことを、たとえ一人になってもくじけずに、がんばっています。夢は夢として、現実は現実として受け止めながらも、あきらめずに正面からつき進むところをぼくも見習いたいです。厳しい現実の中でも努力を続ける後藤さんの生き方に、ぼくはとても感動しました。そして、今度からどんなにできないと思っても、まず挑戦してみます。

 【評】マンモス復活を夢見て、数々の困難に立ち向かっていく後藤さんの生き方に深い感動を覚えた十漸君の心の様子が、読みやすい構成でまとめられています。本との出会いによって視野が広がったり新たな決意が生まれたりすることを簡潔な表現でつづった作品です。
 喜びの言葉 天海 十漸
 入賞の知らせを聞いた時、五日間もかけて書いた苦労が実ったと思い、とてもうれしかったです。この本は、「マンモス復活大作戦」という題名のスケールの大きさに驚いて選びました。書く時には、誰の言葉でもない、自分の言葉で表現するよう心がけました。
 指導者=平川 公明
 十漸さん、入賞おめでとうございます。何事にも根気強く取り組むことができる十漸さんだからこそ、あきらめることなく夢に向かって歩み続ける筆者の生き方に、なおさら大きく共感・感動したのでしょう。その思いが素直に表現された感想文でした。