動き出すLNG輸入基地
| (4)新日石の戦略 天然ガス事業拡大に本腰 |
| (2010/01/24) |
|
北東北と道東の天然ガスの工業用需要を見込み、500億円内外を投じて八戸港ポートアイランドに液化天然ガス(LNG)輸入基地の建設を決めた新日本石油(東京)。2015年4月の運転開始後は、供給能力が現在の八戸LNG基地(2次基地)の10倍に当たる年間60万トンに拡大。スケールメリットを生かし、新規需要開拓を進める方針だ。 八戸市で20日に開いた会見で、西尾進路社長は「LNGはわれわれの核となる中心的な事業になろうとしている」と述べ、LNG事業の拡大をさらに進める考えを示した。 石油元売り最大手の新日石は、石油製品の国内市場の縮小を背景に、天然ガスや次世代エネルギーシステムとして期待される燃料電池などの研究、開発に積極的に取り組む。「エネルギーに関するものは何でも供給する」(同社)とし、総合エネルギー企業への脱皮を図る。 今年4月には、石油業界6位のジャパンエナジー(東京)を傘下に収める新日鉱ホールディングス(同)と経営統合を予定。八戸LNG輸入基地の事業は、7月に設立される新会社「JX日鉱日石エネルギー」に継承される。 新日石の事業拡大により、北東北と道東で天然ガス供給事業者間の価格競争が本格化する可能性も浮上する。単一の商品のため、価格以外に差別化できないためだ。ある都市ガス会社の関係者は「より安い価格を提示する供給事業者から仕入れようとする動きが出てくるのでは」との見方を示す。 東北電力と石油資源開発(東京)が出資する東北天然ガス(仙台市)は、青森ガスや弘前ガスなど都市ガス各社に加え、サッポロビール仙台工場(宮城県名取市)、ソニー仙台テクノロジーセンター(同多賀城市)などに天然ガスを供給している。 新潟県聖籠町にある東新潟LNG基地から仙台まで約260キロのパイプラインを敷設。また、タンクローリーや貨車を使い東北各地にLNGを輸送する。同社は「既存の供給先企業を奪い合うことはないと思うが、新規の需要開拓の際に競争が生まれることもある」と警戒感を強めながらも、「競争があることはお客さまにとっては良いこと」と話す。 北海道ガス(札幌市)は、新日石と共同で北海道釧路市に釧路LNG基地の建設を計画中。八戸の輸入基地や、北海道ガスが12年12月に運転開始する北海道石狩市の石狩LNG基地から内航船を受け入れ、道東に天然ガスを供給する。 同社は「この地区には食品加工などの事業所が立地しており、需要が見込める。具体的な供給体制については新日石側との検討事項だ」としている。 |