味わい物語

■ 凍みいも (2) ■
冷え込む時期に手作業
(06.2.25掲載)
中下吉郎さん方での凍みいもの製粉作業。製粉機を使っているが、かつては唐臼で砕いたという
 洋野町の柳杭田クリさん(82)=旧大野村林郷地区=は毎年冬、自宅で凍(し)みいもづくりに取り組んでいる。「昔はどこの家でもやっていたよ」とほほ笑む。
 使うのは小ぶりのジャガイモ。毎年十一月ごろ、糸を通して数珠つなぎにしたイモを、戸外にさらす。昼と夜の寒暖差によって水分がある程度抜け、ぶよぶよに柔らかくなったら皮をむく。ぬるま湯に入れるだけで皮はするりとむける。
 次にイモを一週間ほど水に漬ける。あくが抜けたら再び天日にさらし、からからに乾燥させれば出来上がり。
 ここまでの全工程が手作業で、冷え込む時期の仕事である上、手間がかかる。「家族からは『やめんだ』と言われる」と笑う柳杭田さんだが、外で体を動かすのが性に合っているのだという。
 使うイモは弟の中下吉郎さん(63)が栽培したもの。凍みいもができると、今度は中下さん方でイモを粉にする作業に移る。製粉機に投入して細かく砕き、粉下ろし(ふるい)でいい粉を選別。粗い粉は再び製粉機で砕く。その年の冬にできた凍みいもは、冬の間にすべて粉にしてしまう。
 イモの粉を調理するには、熱湯を混ぜてこね、もち状にする。生地を細かく切ってみそ汁やお汁粉に入れたり、みみっこもち(かますもち)にするなどして食べる。みそやあんこなど多彩な食材・味付けとマッチするのが、コメや小麦などと同様、でんぷん質食品としての特徴だ。
 懐かしさから、柳杭田さんに「イモの粉を譲ってほしい」と求める知人も。昔ながらの備蓄の技術が今なお息づいている。
【写真説明】
中下吉郎さん方での凍みいもの製粉作業。製粉機を使っているが、かつては唐臼で砕いたという