岐路に立つ国立公園 現場からの報告
第4部 レンジャーの現実
| 5 限界 指導員制度が形がい化 | ||
| (2004/11/26) | ||
忙しいレンジャーに代わって公園内を巡視する役割が期待されているが、その活動は個人によってまちまち。法的な権限も一切なく、限界を感じる指導員も存在する。 ■ボランティアの実態 同省は指導員に対し、年一回の活動状況報告書の提出を求めている。ただ、一九九九年度から二○○三年度までの五年間で報告書を提出した県内の指導員は延べ百四十一人。提出率は46・8%にとどまる。 報告書を見ると、登山道の標識の補修など、行政側に現場の状況を細かく伝えようとする情報も散見されるが、巡視した日時だけが記され、具体的な活動内容が判然としないものもある。 十和田八幡平国立公園で勤務経験のある六十代のレンジャーOBは「しょっちゅう事務所に連絡をくれる指導員はごくわずか。活動は本人の自主性次第で、現場をほとんど歩かない名誉職のような人もいた」と明かす。 十和田市在住の自然公園指導員(65)は「環境省は『優しく、反感を持たれないように注意して』と言うが、指導には勇気がいる。せめてレンジャーがリードしてくれれば…。標識が壊れていても勝手に直せない。結局は何もできない感じ」と話す。 ■報告書を“無視” 南八甲田と同様、津軽国定公園の岩木山でも以前から登山道の無断付け替えが行われていた。 自然公園指導員で岩木山を守る会事務局長の三浦章男さん(63)=弘前市=は九八年、付け替えを行っていた男性にやめるよう説得、県に通報したほか、報告書でも問題を取り上げ、早急な対処を求め続けてきた。 だが、県が現地を初めて確認したのは、三浦さんが指摘してから六年もたった今年七月だった。県自然保護課の中野利正副参事は「報告書の記述を見落としていた」と、不手際を認める。 報告書は最終的に十和田自然保護官事務所に送られていたが、杉本頼優統括自然保護官は「(県が管理する)国定公園のことであり、頭に入っていなかった」。ここでも報告は“無視”されていた。 ■そがれる意欲 三浦さんは「報告書にきちんと目を通し、すぐに対処していれば、植生の破壊は最小限に食い止められたはず。行政は自然公園指導員制度を本気で活用しようとは思っていない」と厳しく批判。制度の形がい化が結果的に指導員の意欲をそいでいる、とも指摘する。 レンジャーOBの森孝順自然公園財団事務局長は「ボランティアの力を高めるのは国立公園管理の大きなポイントだ。ただ、今の環境省の現地事務所は指導員の意見、指摘に応えられるような態勢にない」と話す。 |
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